囲碁落書帳

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last updated : 2002 年 7 月 29 日

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目次


2002 年 7 月 8 日

囲碁を解くカギは統計物理にあるという思いがしばらく続いている. 碁盤はまさに2次元格子模型だ. だが,こんなことは誰でも考えつきそうで,ちょっとネットで探したが それっぽいのはなかなか見つからない. 統計物理専門の人で囲碁が趣味 という人はいるが,統計物理で囲碁を研究している人はおそらく少ない. たぶん,こういう考えでは強い囲碁ソフトはなかなか作れないし, 物理屋さんは囲碁のような人工的な産物は研究の対象外だからだろう.

とりあえずはある与えられた盤面の評価ということである. できるだけ先読みしないで盤面の評価をすることは,先読みする際にも 重要である. 読んだ先の盤面がいい局面か悪い局面かを見極める必要が あるからだ. これはどんな対局囲碁ソフトでも ad hoc にやっている 作業であろう. 統計物理はこれに理論的な根拠を与えてやろうという ことである.

特に平均場近似なんかは実際有効に思える. よく考えればプロだって 平均場近似を使っている. それはヨセの計算である. ヨセの計算では黒石と白石のランダムネスを仮定してその平均値で ヨセの大きさを見積もる. だから 1/2 目とか 1/3 目とかいう 値が出てくるのである. 小ヨセで時間のある碁なら読み切りかとも 思いますが...

状態変数はまず各石の強さ. 石の強さの定義はよくわからないが, とりあえず最小の強さを 0 最大の強さを +1 としてやろう. 最小とは全く味も何もなく取られている状態(よくわからない)? 最大の強さは2眼が確定した状態であろう.

もう一つの状態変数は石の置かれていない空点が今後黒石になるのか,白石になる のか,それとも空点のままで黒地になるのか,白地になるのかという 状態としてみよう. その空点の期待値が地合ということになろう.

自明な命題として以下のものが挙げられる:

上記の条件は拘束条件として使えるとして,要はそれ以外の場合, 2眼も確定していなければまだ,完全につながってもいない場合には, 統計物理的な相互作用によってその石の強さが決まるし,その周りの 空点の状態も決まると考えられる.

とりあえず定義できそうなのは二つの石の間の相互作用の強さである. これはヨセの統計力学を借りて,白と黒のランダムネスを仮定して おおまかに計算できる. 具体的には黒石のクラスタが2つあるとして,その 間の道を考え,その道の上に全部黒石が置かれる確率を (1/2)^(道の長さ) とかにして,すべての道を考えて,どこかがつながる確率を計算すればよい. 道のつながる確率は簡単のため独立とすると, 1 - Π_i(1-道(i)のつながる確率) で,少なくとも1つの道がつながる確率 がでる. 例えば 一間トビで相手の石が周りにない場合の石のつながり確率は, 直接継ぐ道が 1/2 で,そのほかに回り込んでつながる手もあり, 上の式にぶちこむと 1/2 +α, コスミの場合は直接継ぐのが 1/2 で,3/4 + α とかになる (αは周りの配石によって変わる).

もう一つ評価できそうなのは,ある石のまわりに眼できるかどうかという 評価である. これも石のランダムネスを考えて周囲の空点のまわりの 石の配置で可能であろう. だが,このとき2眼以上確実にあれば,それは 強さ1としてよいが,1眼しかないとかいうときはなかなか難しい. というか,やはりこれは相互作用で決めるしかないのか. 他の石とつながらなくて1眼しかできない場合は強さ 0 で,それらの場合の 数を適当なランダムネスの仮定のもとで足し合わせてやれば,その石の強さが でて,平均場方程式かモンテカルロでまわしてやれば答えは出るはずである.

というとりあえずいい加減な落ちをつけたところで,今日の負け碁反省会. これもしばらく前の WING での対戦. 私(11k*) の白番で,相手は 12k*,コミは -1.5. 最初に教訓を書いておくと,ダメ詰まりと見落としは怖い. 統計物理などという前に自分の棋力を上げなくては.